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  1.   1.  安定版
  2.   2.  パッチ
  3.   3.  先行リリース
    1.   3.1  アルファリリース
    2.   3.2  ベータリリース
    3.   3.3  リリース候補(プレリリース)
  4.   4.  gitビルド
  5.   5.  まとめ
  6.   6.  典型例

LyXのバージョン番号とその背後にある原則の説明です。

ほとんどのユーザーは、LyXの最新の安定版リリースを入手しようと思うはずです。

1.  安定版

バージョン番号の数値は、増加していきます。バージョン1.x.0は、通常、一年以上をかけた開発の結実であり、エキサイティングな新機能とともにバグも含んでいるものと考えられます。バージョン1.x.y(y>0)は、メンテナンスリリースであり、新機能を盛り込むことを控えながらバグを修正しようとするものですが、間隙をぬって新しい機能やバグが潜り込むこともあります。

たとえば、現在の安定版は1.5.2ですが、その前は1.5.1や1.5.0でした。これらのバージョンは、すべて1.5.x安定系列の一部ですが、このような場合は、大きいマイナーバージョンを持つバージョンへアップグレードした方が安全であると期待できます。

LyXファイルの形式は、メンテナンスリリースで変更されることはありません。つまり、たとえばLyX 1.5.3で作成されたLyXファイルは、かならずLyX 1.5.1で読むことができ、1.5.1で作成されたファイルは1.5.3で読むことができます。

2.  パッチ

最初の安定版リリース(たとえば1.5.0と1.6.0のあいだ)では、パッチは大きくなりすぎるので提供されません。しかし、メンテナンスリリースではパッチが提供されます(ときにこれも大きなものになりますが、そのほとんどはインタフェース現地化の文章部分です)。これらのパッチは、小さい方から(順を追って)適用されなくてはなりません。

3.  先行リリース

先行リリースでは、既存安定リリースの上に、新たな機能が盛り込まれます。lyx-1.5.0alpha/beta/rc1は、バージョン1.5.0の先行リリースであることを示します。しかしながら、先行リリースは、次期リリースのテストリリースとみなされるべきであり、適切な慎重さをもって取り扱われなくてはなりません。なお、リリース公表の負担を最小にするため、メンテナンスリリースでは先行リリースは発表されません。

3.1  アルファリリース

アルファリリース(たとえばlyx-1.5.0alpha1.tar.bz2)は、十分に試験されていない新機能が、二つか三つくらいしかなくなった時点で、開発ソースコードからリリースされるLyXソフトウェアです。したがって、アルファ版は不安定であることがよくあり、開発者と試験者のみが使うべきものです。

3.2  ベータリリース

ベータリリース(たとえばlyx-1.5.0beta1.tar.bz2)は、アルファ版と同様ですが、最初の安定版リリースまでには、小さな変更以外は行われない点が異なります。したがってこの版は、次期安定版の主要機能がすべて含まれており、外部で広く試用されるために使われます。 ベータ版は、重要な文書を編集するに十分なほどには安定していません!

3.3  リリース候補(プレリリース)

最初のリリース候補(rc、例:lyx-1.5.0rc1.tar.bz2)がリリースされた後は、バグ修正のみが為されます。最初のリリース候補が公開される基準は、データ損失を伴うバグが存在しなくなったことです。

4.  gitビルド

主要リリース(たとえばLyX 1.5.0など)の後、作業は通常、ソースコードの二つの独立したブランチ、「trunk」(ないし「master」)と「branch」で続けられます。「trunk」が中心となる開発ブランチであり、ここに主要な新しい機能が付け加えられます。このブランチは、最終的に次期メジャーリリースとなります(たとえば、LyX 2.0の後のLyX 2.1)。「branch」(LyX 2.0の場合は「2.0.x」)は、バグ修正が行われる安定開発ブランチです。LyX 2.0.1や2.0.2などのメンテナンスリリースは、このブランチからビルドされます。このようにする目的は、このブランチがつねに安定的であるようにするためです。

gitレポジトリからのLyXビルドのバージョンには、「svn」接尾辞が付きます(たとえば1.6.0svnや1.5.1svn)。これらのバージョンが、FTPサイトにパッケージ化されることはありません。

gitの使い方の説明は、ここにあります。

5.  まとめ

まとめると、以下の4つのファイル名形式が存在します。

lyx-1.5.0.tar.gz最初の安定版リリース
lyx-1.5.2.tar.gzLyX 1.5.0の二回めのメンテナンスリリース
patch-1.5.2.gzLyX 1.5.1のソースコードを1.5.2に更新するパッチ
lyx-1.6.0alpha/beta/rc1.tar.gz潜在的に不安定である可能性がある、次期リリースのテストリリース

安定版とパッチは、LyX FTPサイトの「stable」ディレクトリにあります。
先行リリースは、LyX FTPサイトの「devel」ディレクトリにあります。
興味のある方向けに、gitレポジトリがつねに利用できます。

6.  典型例

標準的なユーザー、あるいはたとえば重要なビジネスプロジェクトにLyXを使用しているユーザーは、1.5.2をダウンロードし、1.5.3がリリースされるにしたがって、それに更新しようとすることでしょう。熟練したユーザーは、最新の1.6.0rc1バージョンをダウンロードし、すてきな新機能を手にしたいと思うかもしれません。開発者は、gitを通じて開発を続けることになるでしょう。