LyXのプログラムと取扱説明書は英語で開発されています。しかしながら、多くのLyX開発者およびユーザーは、他の言語を読み書きできます。LyXはすでに多くの言語をサポートしていますが、まだ残されている仕事も多くあります。LyXの国際化への貢献は、いつでも歓迎致します。可能な貢献のしかたには、以下に説明されているようにいくつかの方法があります。

これらのファイルをどうやって作るかに関しての主要な情報は、LyXのヘルプメニューから開ける「カスタマイズ篇」にありますのでご覧ください。

安定系列におけるそれぞれの言語への翻訳状況のページと、翻訳の一般的なヒントと助言のページがあります。

1.  メニューとダイアログとエラーメッセージ

ユーザーインタフェースを別な言語に翻訳することによって、英語を使用しないユーザーが、LyXをもっと心地よく使用することができるようになります。「ユーザーインタフェース」というのは、メニュー項目およびダイアログ、LyXエラーメッセージのことを指します。インストール時にうまく設定されていれば、ただしい言語が自動的に読み込まれるはずです。LyXは、これを実現するためにGNU gettextを使用しています。

新しく翻訳するためには、.poファイルを作成する必要があります。サンプルとして、LyX頒布版のpoディレクトリを見てみてください。英語以外の言語のユーザーインタフェースの現況は、ここで見ることができます。.poファイルをどう触ればいいかについての詳しい情報は、ここにあります。

2.  文書化

LyX開発の試みに対してあなたができる、もっとも役に立つ貢献の一つは、取扱説明書群を翻訳することです。もちろんたくさんの取扱説明書がありますので、いくらか手助けが必要になるかもしれません。

2.1  何を翻訳するか

取扱説明書は、どのような順序で翻訳されていくべきなのでしょうか。まずは入門篇から翻訳してください。この説明書は、(望むらくは)ほとんどの新規ユーザーが目にするもので、最初から最後まで読み通される可能性の高いものです。ユーザーの手引き全体を読み通す人はほとんどおらず、説明書全体を読むよりは、英語で一部を引いた方が易しいくらいです。もちろん、最終的な目標はすべてを翻訳することです。

入門編の次には、はじめの一歩(Intro.lyx)とスプラッシュ文書(lib/examples/splash.lyx)および入門編向けの用例文書(lib/examples/example_*.lyx)を翻訳するべきでしょう。これらはひじょうに短いファイルなので、手早く翻訳するのにうってつけでしょう。

これらが終われば、ユーザーの手引きと拡張機能篇が次に待っています。ここまで来れば、残りの取扱説明書を終わらせるにじゅうぶんな数のボランティアが集まっていることでしょう(それとともに英語版の変更に追随して翻訳を更新し続けてください)。よくやりました!

2.2  どのように翻訳するか

それぞれの説明書は、foo.lyxxx/foo.lyx(つまり、xxというサブディレクトリの同じファイル名)に翻訳するようにしてください。ここでxxは、当該言語の二文字のISO639コードです。たとえばスプラッシュページのドイツ語版は、lib/examples/de/splash.lyxとなります。このようにすると、ただしく設定されたコンピューターにおいて、適切な説明書を自動的に読み込むようになるのです。この規則の唯一の例外は、入門篇向けの用例文書です。これらは(ヘルプメニューを通じてではなく)ユーザーが明示的に読み込むので、翻訳されたファイル名を使用することが望ましいでしょう。たとえば、ドイツ語版用例文書(lib/examples/deディレクトリに収められます)は、beispiel_roh.lyxbeispiel_gelyxt.lyxとなります。

翻訳はたいへん難しい作業です。翻訳時にひとつ留意していただきたいのは、英語のスラングや慣用句は、他の言語に正確に翻訳できるとは限らないということです。もし説明書中に「ジャガイモのIQを持った男(a person with the I.Q. of a potato)」と出てきたならば、あまり賢くない人を指す当該言語特有の慣用句で置き換えてかまいません。同じようなことは、冗談を翻訳する際や、説明書中の一般的にインフォーマルな書きぶりのところにも言えます。説明書が、翻訳されたのではなく、当該言語用に書き起こされたかのように見えるように努力してください。

取扱説明書は最新版を翻訳し、変更が加えられるに伴って最新の状態を維持するようにしてください。入門篇と他の入門的説明書が変更されることはまれにしか起こりませんので、これらを最新の状態にしておくことはたやすいでしょう。

3.  入力

英語以外の言語で入力を簡単にする方法に、キーボード配置表とキー割り当てがあります。

3.1  キーボード配置表

キーボード配置表は、与えられた環境や言語において適切な入力機構がない場合でも、さまざまな言語を入力できるようにするためのものです。これによって、一つのキーを割り当て直したり、複数キーの組み合わせをアクセント付き文字やその他の文字に割り当てたりすることができるようになります。新しいkmapを作るには、.kmapファイルを作成するだけでけっこうです。LyX頒布のlib/kbdディレクトリ内の各ファイルを、参考としてご覧ください。

3.2  キー割り当て

キー割り当てを使うと、英語以外の言語でコマンドショートカットの意味がわかるようにすることができます。「M-c b」は、文字(character)様式をボールド体(bold)にすることですから、英語では意味が通じますが、他の言語ではおそらく通じないでしょう。新しい割り当てを作成するには、LyX頒布のlib/bindディレクトリ内で誤った割り当てを含むファイルを探し出します。たとえば、menus.bindファイルの定義を変更したいならば、xx_menus.bindxxはお使いの言語コードです)を作成するだけです。LyXは、環境変数LANGxxを指示していれば、自動的に作成したファイルを発見し、それを使用します。

4.  コーディング!

最後に、あなたからコーディングの手助けをしてもらうこともできるでしょう。LyX 1.5の開発作業において、Unicodeが組み込まれたことによって、LyXの国際化は著しく推し進められました。とくに注意が注がれたのは、アジア諸言語であり、右から左に書く編集のサポートも継続中です。もしあなたが、多言語文書のコーディングに経験がある(もしくは経験したい)のであれば、開発者用メーリングリストまでご連絡ください。